平成27年2月の文科省通達以来、日本各地で日本産漆を植え育てようとの機運が俄に進んできました。
しかしながら国宝、重文などの文化財建造物に使用するための需要は、国産漆の全供給量をしても半分にも満たないのが現状です。
現在、奥久慈漆生産組合長・神長正則氏と壱木呂の会が協力して良く出る木の研究が進行中でありますが、氏の長年にわたる努力無しには成し得ることが出来ません。
ウルシは日本を代表する漆工芸の基本原料で、縄文時代より大切に受け継がれてきました。にも拘わらず漆産業規模が小さいため、主食である米や果物などのように品種改良が今までに一度も行われてこなかったのは、大変不思議なことのように私は感じています。
分根による苗作りは、親木の性質を受け継ぐというとても重要な要素を持った方法です。また地域特有なウルシの復活にも寄与できると信じています。
現在、森林総合研究所の田端雅進農学博士の協力の下、壱木呂の会の見本林のウルシ木を使った掻き取りによるDNAレベルで優良品種の特定と増産を進めています。
文明と違い文化は地域性が重要な要素です。現在では少なくなっていますが、日本各地にはその風土に合ったウルシが存在します。そのような木を見いだし、各地で特徴のあるウルシを再興してもらいたいと思います。
このたび、壱木呂の会より「奥久慈地方 漆の分根法 神長正則の仕事」という分根法の技術を1冊の本に纏めました。
多くの関係者の皆様にご活用いただければありがたいことです。
本のご入り用の方は壱木呂の会事務局までお問い合わせ下さい。