私たちが作る漆器の原材料である日本産漆の現状は、漆掻きの高齢化と後継者難、中山間地域農業の疲弊荒廃による漆木の激減とが重なり大変厳しいものがあります。
7000年以上という気の遠くなるような長い歴史を持ち、日本の代表的な工芸である漆器の基本材料が、危機的状態を迎えてしまうことを、大変憂慮しております。
国産漆の使用量は年々減少の一途を辿り、現在国内で使用される国産漆の割合は1〜2%あるかないかという状況です。
1997年、国産漆の需要が減り、漆掻き職人がどんどん減り続けていくことに、危機感を感じていた17名の漆作家が先ず需要面で漆掻きの仕事を守りたいと考え、壱木呂の会を立ち上げました。
以来、最大の要因は安価な中国産漆に国内市場を奪われたためと考えた壱木呂の会のでは“1人1kg (現在は500g)以上の日本産漆を購入する”活動を行い、草の根運動を行ってきました。2009年より新たな取り組みとして賛助会員制度を設置し、茨城県常陸大宮市の国道118号沿いにウルシの苗木新植による、奥久慈漆・第1次見本林を作る活動を始めました。
併せて漆の木のオーナー制度も設けており、現在80名以上のオーナーに支えられています。
2017年までに皆様のご支援によって第6次見本林が立ち上がりました。
お陰様で第1次見本林は漆を掻けるようになるのは2019年を予定しています。
2015年文科省より国宝重要文化財の修理は下地から日本産漆を使うよう通達が出されました。しかし、ウルシの木から漆をかけるようになるには約10年の歳月が必要です。そのため、目の前の課題を解決するだけでなく、長期スパンで課題に立ち向かわなければなりません。また、漆の量だけを多くするのではなく質も上げていかなければなりません。漆生産の理想は、漆掻きが地域の風土や事情を見極めたうえで漆に最適な土地を選び、長い時間をかけて高品質な漆づくりに取り組んで いくことです。ウルシの木の優良品種開発のため、数年前より研究機関と奥久慈漆生産組合長神長正則当会理事とともに地道な努力を続けてまいりました。
2017年第一見本林でDNAによる調査に会として3種類20本の掻き取り調査に協力しています。
また2017年度の重点活動として、現在存続が危ぶまれている状況下で、数年後に必ず需要が高まる事が予想される、漆掻き道具の製作記録を動画とテキスト資料、3Dデータとして残す活動に着手しています。
同時に、2014年からは新宿伊勢丹を始めとして、茨城県常陸太田市の梅津会館、2016年は、北鎌倉東慶寺ギャラリーなど、会員による漆芸展を展開し、日本産漆の良さを多くの方に見ていただくという広報活動にも力を入れています。
壱木呂の会は2013年からNPO法人として、新たに活動の輪を広げ、民間の力を中心に、出来ることを一つずつ進めていこうと考えています。
理事長を含め理事、実行委員全員が無給のNPOで経費以外は手弁当に近い状態で活動しています。
皆様の会費などの支援を元に福島・石川県輪島市・山中町・長野県伊那市などへの苗木支援と植栽のお手伝い、また漆掻き鎌の制作支援や技術保存に取り組み、日本産漆の抜本的な問題への支援活動を行っています。
我々の活動にご興味がありましたら、どの様な形でも結構です。ご支援頂ければ幸いです。
ご不明な点なども、是非お問い合わせフォームか電話などで事務局までお問い合わせ下さい。